2012年3月24日土曜日

【修善寺】(静岡県・伊豆・修善寺)

3月初旬に伊豆半島に一泊でドライブ旅行に行った。その時立ち寄ったのが、この修禅寺である。

修禅寺は修善寺温泉の名称のもとになった寺。立ち寄った目的は、「なな番」で蕎麦を食べ、修禅寺と日枝神社に参拝することである。





修禅寺はそれほど大きな寺ではないが、有名な修善寺温泉のその名の由来となった寺院で、修善寺温泉の中ほどに位置する。私がこの寺を訪れた時は生憎の雨。事前に旅館を予約してしまってあったため、雨でも伊豆まで行かなければならない。

平日の午後、雨天であったせいか参拝する人はほとんどいない。雨で濡れた石畳を踏んで境内に入った時、修禅寺にいたのは私たち夫婦だけであった。




手水は温泉で、「大師の湯」と看板が掲げられている。さすがは温泉場。修禅寺は弘法大師空海の創建と伝えられる。

社殿はなかなか立派であった。








私は全国の寺社を参拝する度に必ず御朱印をいただくことにしている。その土地を訪れた記念になるし、墨で黒々と大書された文字と朱で捺された印には独特の美しさがあって、それを御朱印帳に集めて手元に置くことで、ささやかな満足感が得られるのである。

修禅寺の御朱印には、「大日如来」と書かれている。修禅寺の本尊は大日如来なのであろう。







続けて、日枝神社に詣でる。日枝神社も修禅寺と同じく弘法大師の建立と言われ、江戸時代までは修禅寺の鎮守社であった。古来、日本では神仏習合がおこなわれ、寺院に神社が、神社に寺院がそれぞれ設けられたのであって、明治の神仏分離令を経た今日でも、神道と仏教と、神社と寺とを厳密に分けることは、伝統的見地からすれば困難なのである。





こちらは修禅寺にまして参拝する方が少なかった。折角修禅寺まできたのならば、鎮守社であった日枝神社も併せて詣でたいものである。お社は壮大ではないが、小さな社殿はそれはそれで結構である。境内は静かであった。

神社はどこもそうだが、この日枝神社も参道は趣きがある。




日枝神社でも御朱印をいただく。祭神は「大山咋命(おほやまくひのみこと)」。







ついでに、修善寺温泉の「独鈷の湯」を見る。こちらも弘法大師所縁(ゆかり)の場所である。弘法大師が岩を独鈷杵で撃つと、霊泉が湧き出した、という伝説の湯である。詳しい由来は看板を撮影しておいたから、そちらの写真を参照されたい。

なお、現在の独鈷の湯は河川整備のために平成20年秋から21年春にかけて移設されたものらしい。私は四年前にもこの独鈷の湯を訪れているのであるが、今回同じ独鈷の湯を見ても、その場所が変っていることには、今日この記事を書くために独鈷の湯について調べるまで全く気付かなかった。沼津土木事務所の解説(リンク先を参照)を読むと、水面から上に出ている岩の部分をそのまま引いて移動させたようである。



移設後の独鈷の湯(平成24年3月撮影)

移設前の独鈷の湯(平成20年9月撮影)

移設前の独鈷の湯

移設前の独鈷の湯



記憶というものは曖昧なものであると同時に、巨大な岩石の位置が変るなどということは考えてもみないものだから、位置が変っていることに気付かなかったのも当然のことかもしれない。そして、この移設工事の処理が素晴らしいためもあって、私は何の疑問も抱かずに二度目の修善寺温泉の観光を終えたのである。

移設前後の写真を並べて見せられなければ、誰しも位置が変わったと言われても信じることができないのではないだろうか。

私は、移設される前にも修禅寺の独鈷の湯を訪れたことがあるので、その時に撮った移設前の写真も載せておこう。これは平成20年(2008年)9月に撮影したものである。移設工事が平成20年の秋からであったのだから、これは移設直前の貴重な写真ということになる。二枚の写真を見比べると、独鈷の湯の位置が変っていることが、はっきりとお判りいただけるだろう。







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修善寺温泉で我々が入った蕎麦屋は「禅風亭なゝ番」である。この店は修繕時より少し東、修善寺方向に向かって左側にある。自家用車が4、5台止められる駐車場があるが、車は少々駐めづらい。







囲炉裏端に坐って、夫婦で「禅寺そば」を食べた。もりそばに薬味がいろいろあって、薬味の下からとろろ蕎麦が出てくる。一目見て、蕎麦が少ないような気がしたのだが、それはこの隠されたとろろ蕎麦に気付かなかったからだ。

生山葵(わさび)がそのままで付いてくるが、別におろし山葵も付いてくるから、これはお土産用に取っておくことができる。

味はなかなかに美味。

すりゴマや茗荷などの薬味を次々に入れて食べると味が変って最後まで新鮮な気分で蕎麦が楽しめる。肝腎の蕎麦であるが腰があってうまい。
とろろ芋の効果もあってか、心地よい満腹感とともに蕎麦屋を後にすることができた。

機会があれば、また立ち寄ってみたい店である。

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